炭都国際交流芸術祭プレイベントによせて

　　

　有明海に面し里山に囲まれ　かつて炭坑町で栄えた大牟田。

重要文化財の宮原坑竪抗櫓をはじめ　町の至る所に当時の炭鉱関連跡が残り　まだ稼働している三池港閘門　操業を続ける工場群と昭和の街並みが静かに共存し生き続けている町。

　

　燃える石の発見で　大牟田は三池炭鉱と共に栄え　明治以降の日本の近代化に大きく貢献しました。

 

　しかし国のエネルギー政策の大転換　三池争議　炭塵爆発事故と時代の荒波にもまれ　苦く辛い体験をした大牟田。　

　人々の心に大きく刻まれた光と影の歴史は　逞しく生きて来た人々の誇りであり証です。　

　その繁栄と喜びや耐えがたく深い悲しみの物語は　アーティストの胸の内側をさす針のような刺激と収まり付かない創作意欲が何時までも続いています。

 

　新たなアートシーンを見据え　混沌とした様々な歴史の破片を探し集め　組み立て創作出来るとしたら　インスピレーションと可能性に満ちたこの地での発表は必然です。

 

大牟田で繰り広げる様々な関わりあいと創作は　既存のキュウブの中ではなくこの地で開花させてこそ　成立するアートなのです。

 

現代アート作家　梅崎弘